チャールズ・バーネット エブリデイ・ブルース

Introduction

アフリカ系アメリカ人の日常と人間性をスクリーンに映し出し
アメリカ映画に静かな革命をもたらした伝説の映画作家 チャールズ・バーネット
初期代表作を、4Kレストア版で日本劇場初公開
アフリカ系アメリカ人の日常と人間性を
スクリーンに映し出し
アメリカ映画に静かな革命をもたらした
伝説の映画作家 チャールズ・バーネット
初期代表作を、4Kレストア版で日本劇場初公開

冷静な観察者の視線と詩⼈の感性で、黒人コミュニティの日常と、そこで生きる人々の人間性をスクリーンに映し出してきたチャールズ・バーネット。音楽権利の問題や配給の壁に阻まれ、その作品に触れる機会は長らく限られていた。そのため映画史の中で埋もれた存在となっていたが、2007年、代表作『キラー・オブ・シープ』の広範な公開を機に、あらためて“再発見”されることとなった。

コミュニティの内側からの親密なまなざしと、抑制された叙情性を湛えた作風は、バリー・ジェンキンス、エイヴァ・デュヴァーネイ、ラメル・ロスら現代の黒人独立系映画作家たちへと受け継がれ、いまではアメリカ映画史における偉大な監督の一人として、世代やジャンルを超えて多くの表現者から深い敬意を集めている。

本特集「チャールズ・バーネット エブリデイ・ブルース」では、南ロサンゼルスを舞台にした初期二作――伝説的傑作『キラー・オブ・シープ』と、再編集を経て甦った『マイ・ブラザーズ・ウェディング』――を、ともに最新の4Kレストア版で日本劇場初公開。

約半世紀の時を超え、ついに日本のスクリーンへ――

約半世紀の時を超え、
ついに日本のスクリーンへ――

Director

チャールズ・バーネット Charles Burnett
チャールズ・バーネット
Charles Burnett

1944年4月13日、ミシシッピ州ヴィックスバーグ生まれ。幼少期に家族とともにロサンゼルスへ移り、サウス・セントラル地区のワッツで育つ。電気技師を目指してロサンゼルス・シティ・カレッジで学んだのち、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に編入。創作ライティングの授業をきっかけに映画制作を志す。大学院では映画制作(MFA)を専攻し、この時期にジュリー・ダッシュ、ハイレ・ゲリマらと協働。のちに批評家クライド・テイラーによって「L.A.リベリオン」と呼ばれるようになる、アフリカ系アメリカ人を中心とした若手映画監督グループの一員として活動した。

初長編作『キラー・オブ・シープ』(1977)は学生映画ながらベルリン国際映画祭フォーラム部門で国際批評家連盟賞を受賞。その後も『マイ・ブラザーズ・ウェディング』(1983)、『トゥ・スリープ・ウィズ・アンガー』(1990)、『The Glass Shield』(1994)などの長編を発表。短編やドキュメンタリー、テレビ映画も手がけながら、アフリカ系アメリカ人の生活と歴史を一貫して描き続けている。2017年には、長年の功績に対してアカデミー名誉賞を授与された。

近年はドキュメンタリー『After the LockDown: Black in LA』(2021)を共同監督したほか、Amazonスタジオによる歴史映画『Steal Away』も開発中。『キラー・オブ・シープ』『マイ・ブラザーズ・ウェディング』をはじめ、後期作『The Annihilation of Fish』の4Kレストアも完了しており、アメリカ映画史における重要作家の一人として、いまも国際的な注目を集めている。

チャールズ・バーネットは真の映画芸術のヒーローであり、
その作品は今もなお人々にインスピレーションを与え、影響を及ぼしている。
―― ショーン・ベイカー|映画監督『ANORA アノーラ』
チャールズ・バーネットは
真の映画芸術のヒーローであり、
その作品は今もなお
人々にインスピレーションを与え、
影響を及ぼしている。
―― ショーン・ベイカー
映画監督『ANORA アノーラ』

Killer of Sheep
キラー・オブ・シープ[4K Restoration]

日本劇場初公開

Killer of Sheep
キラー・オブ・シープ
[4K Restoration]

日本劇場初公開

この苦く、すばらしき世界

メランコリーとユーモア、絶望と希望 ――
LAの片隅で暮らすアフリカ系アメリカ人労働者の日常を、
詩的な映像美で映し出した奇跡のデビュー作
メランコリーとユーモア、絶望と希望 ――
LAの片隅で暮らすアフリカ系アメリカ人労働者の日常を、詩的な映像美で映し出した奇跡のデビュー作

家族を養うため屠殺場で働くスタンは、空虚な日々を送っている。貧困と疲労、希望の乏しい現実の中で、彼は次第に感情を閉ざし、妻は孤独を募らせていく。 UCLA映画学科の修了課題としてほとんど素人のキャストで完成させたバーネット初の長編作品。音楽権利の問題から長らく公開が叶わず「幻の映画」とされていたが、完成から30年後の2007年についにアメリカで劇場公開が実現。2025年に完成した4K修復版では、ラストシーンを彩る楽曲がバーネットが当初望んでいたダイナ・ワシントン「Unforgettable」に差し替えられた。写実的なまなざしと、詩情豊かな映像美が融合した、アメリカ映画史に深く刻まれる傑作。

監督・脚本・製作・編集・撮影|チャールズ・バーネット
音響|チャールズ・ブレイシー
出演|ヘンリー・G・サンダース、ケイシー・ムーア、チャールズ・ブレイシー

原題:Killer of Sheep|1977年|アメリカ|英語|80分|モノクロ|スタンダード
日本語字幕:碓井洋子|字幕協力:映画美学校 翻訳仕事場プロジェクト

1981年 第31回ベルリン国際映画祭〈フォーラム部門〉国際批評家連盟(FIPRESCI)賞受賞
1982年 ユタ/U.S.映画祭(現サンダンス映画祭) 最優秀賞受賞
1990年 米国議会図書館「ナショナル・フィルム・レジストリ」選定
2002年 全米映画批評家協会 編『The A List: 100 Essential Films』選出
2007年 ニューヨーク映画批評家協会賞 特別賞受賞

アメリカ映画の傑作。
骨の髄までインディペンデントで、過激な真実を語る映画
− The New York Times
アメリカ映画の傑作。
骨の髄までインディペンデントで、
過激な真実を語る映画
− The New York Times

My Brother’s Wedding
マイ・ブラザーズ・ウェディング〈ディレクターズ・カット〉[4K Restoration]

日本劇場初公開

My Brother’s Wedding
マイ・ブラザーズ・ウェディング
〈ディレクターズ・カット〉
[4K Restoration]

日本劇場初公開

いつも、どこにも、間に合わない

家族、友情、アイデンティティのあいだで揺れる青年の葛藤を描いた、
哀しみと可笑しみが交錯する悲喜劇
家族、友情、アイデンティティのあいだで
揺れる青年の葛藤を描いた、
哀しみと可笑しみが交錯する悲喜劇

家業のクリーニング店を手伝いながら漫然と日々をやり過ごす、“大人になりきれない若者”ピアース。弁護士の兄が裕福な家庭の女性と婚約したことで、ピアースは居心地の悪さと劣等感を募らせる。同じ頃、刑務所から出所した親友ソルジャーと再会した彼は、家族への義務感と親友への忠誠心の板挟みになり、ある選択を迫られる。
長編二作目となる本作では、黒人コミュニティ内の階級差や世代間の心理的な隔たり、社会的成功から取り残された若者たちの苛立ちが、日常の隙間から静かに浮かび上がる。ピアースの優柔不断で不器用なふるまいが、ときに可笑しみを、ときに哀しみを呼び起こす、バーネット流のトラジコメディ。

監督・脚本・撮影|チャールズ・バーネット
助監督|ジュリー・ダッシュ
編集|チャールズ・バーネット、エド・サンティアゴ(2008年)
製作|チャールズ・バーネット、ゲイ・シャノン・バーネット
出演|エヴァレット・サイラス、ジェシー・ホルムス、ゲイ・シャノン・バーネット、ロナルド・E・ベル、サイ・リチャードソン

原題:My Brother’s Wedding|1983年・115分|2008年・82分〈ディレクターズ・カット〉
アメリカ|英語|カラー|スタンダード|日本語字幕:加藤初代

可笑しさと哀しさが交錯する、優しさに満ちた掘り起こされるべき宝。
―― The Village Voice
可笑しさと哀しさが交錯する、
優しさに満ちた掘り起こされるべき宝。
―― The Village Voice

Theater

都市 劇場名 公開日
関東
東京都渋谷区 シアター・イメージフォーラム 2026/2/7-